2025年11月18日(火)にConnect for oita ventures 交流会イベントVol.22を開催いたしました。
TALK EVENT
「美容室なのに、カットをしない」。
Lecture代表・狩生志保氏が展開するシャンプーブロー専門店「uruu(ウルー)」は、従来の美容室の概念とは異なる、“日常の身支度に価値を置いたサービス”として誕生しました。
提供しているのは、ヘアスタイルを大きく変える施術ではなく、シャンプー、ブロー、ヘアアレンジなど、日々の支度の中にある“小さな工程”から、スパといった癒しの時間。
その発想の起点は、狩生氏自身が働きながら子育てをする中で感じていたちょっとした”気づき”。美容を“特別な日の準備”ではなく、日常の中にある“ちょっとした手間を軽くする行為”として再定義したことが 「uruu」の出発点です。
この視点は「 uruu 」だけに留まらず、既存美容室の空席を活用した新モデル「tytto」の展開にも生かされています。また事業育成において、品質差が出にくい教育設計、短期間で現場デビューを可能にしたスタッフの育成プログラムなど、狩生氏ならではの視点がLecture全体の事業戦略に生かされています。
今回の講演では、こうした事業戦略と人材育成の考え方について、多面的に語られました。

イベントレポート
日常の”小さな気づき”が事業のきっかけ
「uruu」 の原点は、狩生氏自身の生活の中にありました。三児の母として働く中で、「今日は髪を洗うのがしんどい」「この工程だけ誰かにお願いできたら」と感じる場面が日常的にあったといいます。
こうした生活者としての実感が、“必要なところだけを頼めるサービス”という構想につながりました。
「美容=特別な日のため」から「美容=日常の身支度を整えるため」へ。
「uruu」 は、そんな価値観のシフトを形にした新しい美容サービスです。

提供する価値は“整う時間”
uruu が提供するのは、髪型を大きく変えるのではなく、 “自分が整う時間” 。
シャンプーブローの時間が「この30分が気持ちのリセットになる」「自分のペースを取り戻せる」という利用者からの声も多く聞かれ、 uruu の価値は仕上がりだけでなく、シャンプーブローの30分という時間が “自分に戻る癒しの時間”になるという体験価値を生んでいます。

”整う時間”を叶える技術設計と社員育成
Lectureの事業の大きな特徴は、スタッフの個人技量に依存させない仕組みを徹底していることです。美容業界ではスタイリストの個性に価値が紐づきやすく、指名制度が一般的ですが、uruu はあえて指名制度を設けていません。
その理由は、「誰が担当しても同じ品質」が提供できる状態を重視しているため。そのために、「シャンプー・ブローの所作」「圧のかけ方」「髪の扱い方」「お客様が心地よく感じるポイント」など細部までを丁寧に言語化。接客の判断基準まで含めてマニュアル化し、動画教材も活用。スタッフ全員が同じ水準で学べる教育体制を整えています。この育成プロセスに従うことで、短時間で必要な技術が習得でき、どんな人でも”2週間”で接客ができるようになると言います。
この育成プロセスに沿えば、未経験者でも約2週間で現場デビューが可能。
体験価値を落とさずにサービスを提供し続けるための大きな強みとなっています。
美容室の空席を“価値のある時間”に変えた新モデル「tytto」
講演では、「uruu」に続く新たな事業モデル「tytto(ティット)」も紹介されました。「tytto」は、既存美容室の空席時間を活用してシャンプー・ブローサービスを提供する仕組みです。

既存美容室側にとってのメリット
・空いている時間を収益につながる時間へ転換
・従来の営業時間のままで収益機会が広がる
Lecture側にとってのメリット
・新たに店舗を構える必要がない
・設備投資・家賃などの固定費が最小限
・スピード感を保ちながら事業拡大が可能
場所を持たない拠点づくりによって、
uruu が大切にする “整う時間” の価値を、より多くの生活者へ届けることを可能にしたモデルと言えます。

「整う時間」をどう継続的に提供するか
講演を通じて印象的だったのは、どの取り組みにおいても狩生氏が重視しているのは「体験価値をどう再現し続けるか」という点でした。
・どの工程をサービス化すると負荷が減るのか
・品質がばらつかないために何を言語化するか
・誰が担当しても同じ体験になる仕組みをどう作るか
こうした細部の設計が、「uruu」 や 「tytto」 の価値を支える基盤となっています。
質疑応答では、飲食・小売・福祉など、さまざまな業種の参加者から質問が寄せられました。とくに関心が高かったのは「社員育成」のテーマです。
サービスの品質を個人に依存させず、同じ体験として届け続けるための仕組みづくり。
この考え方は美容業に限らず、どの業界でも共通する課題であり、多くの参加者が自社に置き換えて考えている様子が印象的でした。今回の講演は 日常の行動を“価値”に変えるサービスをどう継続させるかという観点で、多様な業種にとって学びのある内容となりました。

参加者との質疑応答の様子



