2025年9月29日(月)にConnect for oita ventures 交流会イベントVol.20を開催いたしました。

TALK EVENT

2025年9月29日(月)、東京にて第4回目となる交流会イベントが開催されました。今回のゲストには、大分県竹田市出身、SNS総フォロワー数60万人を超えるインフルエンサーであり、株式会社あなたへこもれび 代表取締役CEOの大塚健人(おおつかけんと)氏を迎えました。

自身で事業をおこなうかたわら、社会人1年目として大手企業にも勤務。会社経営と会社員の両軸を歩む大塚氏が、「若者の働くマインド」と「SNSを軸にした事業戦略」という2つの視点から、これからのキャリアと発信のあり方について語られました。

近年、起業マインドやフリーランス志向といった言葉で若者像が語られますが、その理想と現実の間には、“温度差”があるようです。大塚氏の言葉には、そのリアルな感覚が込められていました。

イベントレポート

まず初めに、若者のキャリア形成についての現実をお話しされました。
大塚氏は、キャリア形成として「①会社員を続ける」「②会社員と副業を両立する」「③副業から独立する」という3つの方向に分かれていると語ります。
若者には、起業や独立が華やかに映る一方で、実際には②の「会社員×副業」が最も多く、「安定と挑戦の両方を大切にしながら、自分の可能性を広げたいと考える人」が増えているといいます。

印象的だったのが、「大手企業での働き方は“80を80.4にする”世界」という言葉です。 確立された仕組みのなかで、細部を磨き、積み重ねによって価値を高めていくような働き方。
その世界で求められるのは、大きな変化ではなく、ブランドや信頼を守りながら成長を続けていく力です。
一方で、大塚氏はそんな環境の中で「自分がどんなかたちで成長できるか」を模索し、働きながらも自身の事業であるSNSを活用した新しい挑戦を行っていると話します。

「副業は時間の使い方と強い信念の設計がすべて」と語るように、限られた時間の中でも目的を明確にし、環境を自分で整えていく強い姿勢が印象的でした。
また、自身のSNSで閲覧者にキャリア相談を募った際には、わずか24時間で約90件の相談が寄せられたといいます。
「動きたいけれど踏み出せない」「自分に合う選択がわからない」といった声も多く寄せられ、現代の若者が抱える迷いや不安の大きさが伝わりました。
大塚氏の「おもしろいか、そうでないか」というシンプルな軸で選択を重ね、「言い訳できない環境に身を置くために東京に行った」という言葉には、行動の背景にある確かな意志が感じられました。

SNSは“名刺”であり“経営の武器”

もう一つのテーマは、SNSを事業戦略としてどう活用するかです。
「SNSは遊びではなく、経営の武器になる。良いアカウント一つが名刺代わりになる」と語る大塚氏。
成果を上げるためには、ゴール(KGI/KPI)→ターゲット→コンテンツ設計という順に戦略を立てることが大切だといいます。
フォロワー数よりも再生回数を重視し、「1投稿1万回再生」を実務の基準とするなど、数値目標を明確に設定。
市場で伸びている構成を分析し、「まずは徹底的にパクる(TPP)。最後に自分の色をのせる」というマネながら磨くという姿勢で成果を積み重ねています。

「何を言うかより、”誰が”どう言うか」が価値を生む時代。
属人性を可視化し、「この人だから信頼できる」という動機づくりが欠かせません。 SNSを単なる情報発信の場としてではなく、関係を深める手段として位置づけている点が印象的でした。

地方に還元する発信の力

都市部で成果を上げている発信フォーマットを地方に“輸入”し、地域の文脈に合わせて展開する取り組みにも力を入れています。
大分県内では自治体アカウントの運用支援なども行い、発信力を資産として循環させる仕組みづくりを進めています。

「SNSは経営の武器になる」という言葉の通り、本講演は発信を“目的”ではなく“戦略”として捉える視点を伝えていただきました。
華やかに見える挑戦の裏側には、日々の積み重ねや、置かれた環境で成長を続ける覚悟があります。
大塚氏の講演は、現実を冷静に見つめながらも、前向きに行動する若者たちの姿を映し出していました。
キャリアの形に正解はなく、それぞれの環境のなかで「自分らしい成長」を描くことが自分らしく成長していける一つの答えでもあるのではないでしょうか。本講演は、そのためのヒントを多く与えてくれる時間となりました。

参加者との質疑応答の様子