2025年7月25日(金)にConnect for oita ventures 交流会イベントVol.18を開催いたしました。

TALK EVENT

2025年7月25日(金)、第二回目となるイベントが大分にて開催されました。ゲストに、福岡のスタートアップシーンを牽引してきた「株式会社ヌーラボ 代表取締役 CEO 橋本 正徳氏」「ブランコ株式会社 代表取締役 山田 泰弘氏」「株式会社サイノウ 代表取締役 CEO 村上純志氏」の3名を迎え、スタートアップコミュニティの誕生から発展までの歩み、そして今後の展望についてお話しいただきました。

イベントレポート

イベントの冒頭では、福岡におけるスタートアップ文化の原点が語られました。

2011年にスタートした「明星和楽」は、それ以前の2006年ごろ、まだ“スタートアップ”という言葉すら一般的でない時に、エンジニアやデザイナーたちが自発的に集まり勉強会や交流会を行っていたことから始まりました。
特徴的だったのは、誰もが気軽に参加できる空気感。形式や目的に縛られず、「まずは集まって話してみる」「お互いの取り組みに触れてみる」といったフラットな関わり方が、人と人とのつながりを広げていったと言います。
当時は、ビジネスよりも現場の熱量が優先され、クリエイティブやテクノロジーが交差する場が自然に生まれていったそう。ピッチイベントや英語プレゼン、展示などを通じて、関心のある人たちが集まり、刺激を持ち帰っていく——
そんな文化が少しずつ根付いていきました。

2012年には福岡市が「スタートアップ都市宣言」を掲げ、スタートアップビザ制度やスタートアップカフェの設立など、行政が力を入れて制度面・環境面の整備がなされました。
ここで特徴的だったのは、行政があくまで“環境整備”に徹し、主導権はプレイヤーたちが持ち続けたこと。 「官は土台をつくり、民はその上で自由に動く」。
その適度な距離感が、福岡のスタートアップシーンを継続的に育てていくうえで、大きな意味を持っていたと言えます。

スポンサーとの関係性も「中立性」と「自由度」を意識して

そこから広がりを見せて、九州のスタートアップの一大ムーブメントとなった「Fukuoka Growth Next」が立ち上がっていきました。
そこで語られたのは、スポンサーとの関係性です。 模索していく中で、複数の企業・団体から協賛を募るスタイルを採用。協賛者が場の空気を共につくる存在として、自然に関わっていく関係性が築かれていきました。
このような体制は、運営の自由度を高めると同時に、スポンサー企業がスタートアップのエコシステムを形成する一員として参加しており、スポンサー企業と運営側のバランスが保たれていたことも成功した一つの要因とお話しされていました。

また、運営者の多くは本業を持ちながら活動しており、「一人では続かない。複数人で支え合うことが大事」といったお話しもされていました。仲間集めもまたイベント運営の重要な要素であり、「毎日飲みながら話していた」関係性が、そのまま実行力につながっていたというエピソードも語ってくださいました。

明星和楽は、時には赤字を出しながらも、挑戦と継続のバランスを模索していき、行政の後押しもあり、福岡は10年以上をかけて、エコシステムの“土台”を形成していきました。

若手が関わり、スタートアップエコシステムが継続的に続いていく

議論は、若手や学生との関わり方にも及びました。
「いきなり起業」ではなく、まずは就職し、週末起業や副業でプロダクトを試してみる。現在の福岡のスタートアップシーンでは、そうした“ゆるやかな挑戦”ができる環境を創っているとのことでした。アルバイトとしてスタートアップに関わった学生が、その後自らサービスを立ち上げるケースも生まれています。
一方で、「若い世代が魅力を感じるイベント作り」という課題も挙げられ、自由で参加しやすい企画や、世代を超えた出会い方の再設計が必要との議論もされました。

今福岡では、コロナ禍を経て、再び明星和楽のような「説明できないけど、なんか面白い」場をもう一度つくろうとする声が若者の間から聞こえ始めているそう。プレイヤーの世代が入れ替わっていくことでスタートアップのエコシステムが循環していくと言えるかもしれません。

大分のスタートアップにおける可能性

こうした福岡の10年を振り返りながら、トークの後半では「大分では何ができるか」が語られました。「大分には動ける人が多い。観光や食の分野でも可能性がある」と、別府のように外からの人材が入りやすい地域性にも触れました。
また、参加者からも、高校生の起業志向や、地域資源を活かしたチャレンジも増えているとの話もあり、ここ大分でも若い世代においても「スタートアップ」の芽は育ちつつあります。

まずは、小さくてもいいから始める

イベントの終盤、参加者へのアクションとして語られたのは「まずは一歩踏み出すこと」。
小さな集まりや勉強会から始まった「明星和楽」、そして「Fukuoka Growth Next」の一大ムーブメント。同じ関心を持つ人たちが出会い、話し、何かアクションを起こしてみる。それがやがて、地域の文化になっていく——

そんな福岡の実例を踏まえたメッセージが印象的でした。

参加者との質疑応答の様子