2025年2月4日(火)にConnect for oita ventures 交流会イベントVol.15を開催いたしました。

TALK EVENT

(左:三浦孝文氏、右:綿貫貴大氏)

2月4日(火)はSENQ霞が関(東京都千代田区)を会場に、今年度最後の東京開催となりました。今回は株式会社ノンピ取締役COO・綿貫貴大氏と、同社取締役CHRO(オイシックス・ラ・大地株式会社より出向)・三浦孝文氏をお招きし、『M&A、子会社IPOから考える地方企業やニッチ企業の成長戦略』をテーマにお話いただきました。

イベントレポート

プライム上場企業のオイシックス・ラ・大地株式会社と、2024年2月に同社の子会社となった株式会社ノンピ。親会社、子会社それぞれの視点からのリアルなお話を、対談形式で伺いました。

共に大分県出身のお二人。三浦氏は大学を卒業後、人事や経営企画など、「会社づくり」を担う業務に長年携わってきました。2017年にオイシックス・ラ・大地株式会社に入社。綿貫氏は大学を卒業後、監査法人グループに入社。ベンチャー支援を経験してその面白さを知り、上場ベンチャー企業2社に勤めたのち現在に至ります。

企業のカフェテリア(社食)や、オフィス向けのケータリングサービスなどを行なっている株式会社ノンピが大切にしていることは、「食を通じてコミュニケーションを活性化させること」。2003年の創業以来、西麻布のレストランを皮切りに、イタリアン、和食、結婚式場のケータリングなど、形態の異なる最大20店舗を展開していました。しかし「飲食業界は流行り廃りがあり、ビジネスモデルの変化も早かった」(綿貫氏)と取り巻く環境が変化していったそうです。

そんな時期に、店の常連だった外資大手企業の社員から「会社のランチケータリングをお願いしたい」という依頼が。「このオファーから全てがはじまりました」と綿貫氏が振り返るように、現在の軸である法人向けのランチケータリング事業へとシフト。2010年頃から本格的に拡大するために、外食部門は撤退したそうです。

2020年、コロナ禍の時期にはオフィス向けのランチケータリングの需要が大きく低下する中、オンライン向けケータリング事業へ新規参入。これまでの法人向けランチケータリングのノウハウをいかして、オンラインコミュニケーションフード『nonpi foodbox』のサービスをスタート。リモートワークやオンライン飲み会などが確立されたことで需要が増加するなど、常に挑戦をしています。

紆余曲折がありながらも順調に見える経営。オイシックス・ラ・大地へのグループ入りを決めた理由について、「大前提として、2023年頃から経営がピンチでした」と綿貫氏。さまざまな食関連企業の経営陣と話す機会をもうけましたが、中でもオイシックス・ラ・大地は、「こちらが選んだというより、選んでいただいたという感覚です」と綿貫氏が話すように、BtoB領域の可能性を感じていたというオイシックス・ラ・大地から見ても、ノンピの事業は会社にとって必要なエッセンスだったそうです。「ただ事業シナジーがあるだけでなく、会社の規模が大きくなっていく中で、チャレンジングな姿勢を忘れないスタートアップカルチャーも刺激にしたいという想いもありました」(三浦氏)。

子会社になったことで、「ビジネスの本質は事業に集中すること。資金調達の心配がなくなったのは大きいです」(綿貫氏)と、以降は黒字化ができているそうです。企業としての社会的信頼度も上がり、取引先も増えたといいます。

オイシックス・ラ・大地としても、カルチャーの異なる会社が加わったことで、「ノンピの存在によって、他事業が刺激を受けられます」(三浦氏)と、新たなシナジーが生まれているようです。この事例はメリットばかりの成功例のように聞こえますが、「ノンピの経営陣がきちんとチャレンジをし続けてくれているから、安心して経営を任せられます」と、親会社と子会社という関係性の中でお互いをリスペクトし、同じ方向を向いているからこその好例だといえそうです。

「ノンピには“上場を目指す”という目標があったので、M&Aは大きな選択肢のひとつでした」(綿貫氏)と、成長の先にある目標設定によって選択肢は変わってくるのかもしれません。

子会社になることで成功を遂げ、さらなる成長に向けて挑戦しているお二人から見ても、大分の企業はさまざまなプロダクトを持っていると評価し、「大事なことは、何を伸ばしたいのか、どう成長したいのかを明確にすることです」と三浦氏。その目標を共有し、達成に向けて共に歩んでくれるパートナー選びが重要なのかもしれません。“ビジョンが同じ”という点が大きなポイントになりそうです。

「例えば大分の企業が東京や大阪の企業と手を組むことで、2倍、3倍の規模に成長することも夢ではないと思います」と、地域の特徴や資源などをいかした展開を実践できる地方企業の可能性は非常に高いと話すお二人。地方にもまだまだ大きなポテンシャルが秘められていると実感できるお話でした。

参加者との質疑応答の様子