2025年1月22日(水)にConnect for oita ventures 交流会イベントVol.14を開催いたしました。

TALK EVENT

2025年1月22日(水)は、コンパルホール3階多目的ホールを会場に開催。アクティブ合同会社CEO・藤原尚也氏にお越しいただき、『デジタルマーケティングの本質を知る』をテーマにお話いただきました。

イベントレポート

“DX化”、“見える化”という言葉が広がり、それに向けた取り組みが進む昨今、デジタルマーケティング分野ではツールも進化し続けています。そんな時代だからこそ最も大切なのは、「本質を見失わないこと」。手法やツールに頼ってしまいがちですが、何を伝え、どんな価値を提供していくかを深く考えることの重要性を教えていただきました。

藤原氏が本講義のキーワードとして挙げたのが『探究力を磨きましょう!』という言葉です。「見えているものだけで判断するのではなく、“なぜ?”を深掘りすることが必要です」(藤原氏)。

マーケティングの本質的な構造をシンプルに考えれば、「お客様(ターゲット)と商品(サービス)しかない」と藤原氏。この2つの要素をどう組み立てていくかが重要であり、つなぐための“目的”に目が行き過ぎると、マーケティングにありがちな「KGI・KPIを見失ってしまう」という状況になるといいます。大切なのは、お客様と商品を徹底的に知ることです。

マーケティングの手段として使うマスメディア(TV・新聞・ラジオ・雑誌)は、あくまでも「一方通行である」ということをしっかり理解すること。一方でデジタル(検索・メール・SNS・アプリ)は双方向として使えます。「デジタルの双方向の優位性と、マスメディアの一方通行の部分をうまく組み合わせながら、商品やサービスが最もターゲットに伝わる方法を考えることが重要」だといいます。

商品やサービスを伝えるうえで必要なのが、「背景にある物語を伝える」こと。この商品やサービスをなぜ作ったのか、誰に使ってほしいのかは、デジタルを使えばしっかりと伝えられます。

さらにお客様がその商品やサービスを使った後の「体験」をつかむこと。使う前の期待度から、使った後にどんな感想をもったのかをしっかり知ることがCRMにつながり、ファン獲得に向けた経営戦略ができるようになります。「商品やサービスの本質がわかっていないと、リソースばかりに費用がかかって結果が出ません。徹底して数値化・見える化していくことがとても重要です」と藤原氏がとらえるマーケティングとは、ストーリーをつくることです。

複雑になってきているデジタルマーケティングを行う指標として、「役割」という視点から3つに分けて紹介しました。

①O2O(Online to Offline)な役割
=販促ツールとしてデジタルを活用しながら、オフラインの購買活動を促進させる。

②OMO(Online Merges with Offline)な役割
=オンラインとオフラインの境界をなくし、顧客にシームレスな体験を提供する。お店でも、オンラインでも、基本的には同じ体験ができることが重要。

③D2C(Direct to Consumer)な役割
=自社のECサイトや直売店などで、小売店や代理店を介さずに商品を消費者に直接販売するビジネスモデル。

「役割」をしっかり理解したうえで、どのデジタルマーケティングを、どう使っていくかを判断する必要があります。

また、ターゲットがどんなメディアに接触しているかを知ることも重要。例えば最近の若年層はテレビを見なくなったと言われますが、データをとってみると確かに少ないけれどゼロではありません。だからこそ、「マスをうまく使いながらリソースを配分し、いかにして自社のお店やサービスに連れてくるかを考えてほしい」と藤原氏。

誰に、どのメディアを使ってアピールするかを考えるために重要なのが、“データの深掘り”。探究ポイントはマトリクスで可視化しながら、まず軸となる“この商品が解決する機能”を設定してみると良いそうです。

他社にも同じような商品があるのに、なぜこの商品を買ってほしいのかを追求してみると、“この商品だったら他にはない何かを解決するから”という理由が大きいといいます。同時に、どんな悩みを持っているのか、それを解決するために提供できる体験価値は何かを挙げていくことでターゲットがしぼられ、そこではじめて、“どのデバイスを使って、どんなコミュニケーションをとれば伝わるのか”が見えてきます。

さらに、USP(Unique Selling Proposition)の活用、つまりは自社だからこそ提供できる価値、独自性、顧客の心を動かす提案を確立することも、ストーリーづくりには欠かせません。

講演の中では、藤原氏が実際に手がけたマーケティング手法として、縦型ショート動画を活用した事例も紹介されました。ターゲットを明確にし、それに沿ったデジタルマーケティングを実践した結果、動画再生回数は400万回を超え、売上や新規顧客獲得に成功したそうです。

多くの人が、“何を使うか”という手法から考えてしまいがちだというデジタルマーケティング。まずはターゲットと商品を探究することからはじめると、選ぶ手法はこれまでと異なるものになるかもしれません。それこそがデジタルマーケティングの本質だといえそうです。

参加者との質疑応答の様子