2023年11月16日(木)にConnect for oita ventures 交流会イベントVol.2を開催いたしました。
TALK EVENT
第2回目は、株式会社タカフジ顧問・背戸克稔氏にご登壇いただきました。
イベントレポート
株式会社タカフジはプラント事業をメインとして創業し、現在はOBE(大分バイオマス発電所)、飲食店「Art Tableいろのわ」、農業事業として「愛彩ファーム九重」「DKファーム」など、多くの拠点・グループ会社をもち、多数の事業を展開しています。
主事業であるプラント事業では、年間多くの燃料を必要とします。
カーボンニュートラルが叫ばれている今、CO2削減は企業としても大きな課題でした。
そこで、同社ではいち早く“バイオマス発電”に注目し、燃料としてパームヤシ殻(PKS)を活用。
インドネシアとマレーシアに集荷場を持ち、自社のバイオマス発電所の燃料として使用しているほか、燃料の販売も行っています。
また、間伐などによって山林に放置された枝葉に注目。
建材などに使われる幹とは異なり、用途の少ない枝葉は伐採時にその場で切り落とされます。
これが再造林の妨げになったり、自然災害時には被害を拡大させる要因になったりと問題視されていますが、用途がないうえに運搬費がかかるため、放置されたままになっていることも少なくありません。
これを燃料として有効活用するために、山林の近くに中間土場を開設しました。
林地の近くで枝葉を燃料用のチップに加工して運搬コストや運搬時のCO2排出を削減。
枝葉がきちんと運び出されることで豊かな森林が維持される結果となり、再造林された木々によってCO2吸収の促進にもつながっています。
用途のない枝葉とはいえ、森が育んだ大切な資源。豊かな森林を守り、育てながら、林業のさらなる発展を目指すためにも、これまで山林の整備・管理の問題だった枝葉に付加価値をつけることを模索しました。
燃料としての活用以外の用途を模索して開発したのが、タカフジ独自の特許技術である『低温真空抽出法』です。
プラント事業を手がけてきた同社だからできる技術者たちのチカラを集約し、低温真空抽出機の自社開発に成功しました。
低温で処理することによって、スギやヒノキの枝葉に含まれる天然のエキスを抽出する同社独自の特許技術。
スギやヒノキのエキスには、殺菌、消臭、癒やしなどさまざまな効果があるという研究結果があることから、商品化に向けて開発されたのが『森の細胞水』です。
「化粧品、ミスト、ウエットティッシュなど、製造技術を持つ企業への原料提供もしていきたいですね。(背戸さん)」。
より多くの分野で活用できる原料としての可能性を秘めた天然原料としての活用はもちろん、処理に困っていた枝葉に付加価値をつけることで新たなビジネスの可能性を見出しました。 環境保全、林業活性化など、森林づくりに関わる事業者にとっても明るい取り組みであり、SDGsへの貢献にもつながりそうです。
エキス抽出後の枝葉は水分量が減るため、燃料として再活用できるほか、炭化して土壌改良剤として自社農場でも使用。
「自然の恵みを無駄にしない」という考え方によって循環型の仕組みを確立し、後世に残す森林づくりに寄与しています。
プラント事業からスタートした同社が、こんなにも多くの事業を展開している理由は、社長のチャレンジ精神だといいます。
「社長がアイデアマンなんです。できるか・できないかではなく、思いついたらまず挑戦してみる。失敗もたくさんありますが、それがノウハウとして蓄積されていくからこそ、新たな発想が生まれるんだと思います」と背戸さん。
社員のチャレンジ精神も醸成され、さまざまなアイデアが飛び交うようになったそうです。
自社が持つ技術をいかしながら、「まずやってみる」への挑戦の先に、新たなビジネスチャンスがありそうです。