2025年12月23日(火)にConnect for oita ventures 交流会イベントVol.23を開催いたしました。
TALK EVENT
人口減少、インフレ、デジタル化ー。地域を取り巻く環境が大きく変化するいま、私たちは何を課題として捉え、どのように向き合っていくべきなのか。
今回の交流会では、大分県商工観光労働部部長でありiU大学客員教授でもある小田切 未来(おだぎり みらい)氏をお招きし、「大分が挑む地域経済活性化の道筋〜令和時代における大分の新たな成長戦略〜」と題して講演を行いました。

イベントレポート
本講演では、行政の立場から、これまで携わってきた政策・産業分野での経験をもとに、大分が置かれている状況をどのように捉えているのか、地域経済の成長戦略について語られました。
人口減少・デジタル・脱炭素・分散化 —— 大分を取り巻く4つの視点
まず冒頭で示されたのが、日本、そして大分を取り巻く環境を整理するための視点「4D(人口減少と高齢化・デジタル化・脱炭素化・分散化)」です。
この4Dは、それぞれが独立した問題ではなく、同時に進行する構造的な変化として捉える必要があるという考え方です。
「人口減少と高齢化」
大分県でも人口減少は他人事ではなく、将来的に人口規模の維持が難しくなると想定されている地域、いわゆる「消滅可能性自治体」という言葉が現実的な課題として意識されつつある状況であり、人口減少という課題は、事業の採算性や公共サービスの維持、地域経済の循環といった点も含め、行政として長期的な視点で捉える必要性があると語られました。
「デジタル化」
私たちは、目まぐるしいスピードで進むデジタル技術の進化について、使うかどうかを迷う段階にはなく、使いながらどう共存していくかを考えていく姿勢が重要だといいます。
「脱炭素化」
世界的な潮流であることを前提に、CO₂排出量の多い産業特性を持つ大分にとって、産業政策と切り離せない論点です。環境対応をコストとして捉えるのではなく、産業政策や企業立地とどのように結びつけていくのかが課題として挙げられました。
「分散化」
国が掲げる「地域未来戦略」や「副首都構想」に見られるように、いまは地域ごとの特性を生かし、産業や機能を分散させていく考え方が重視されています。人材や投資を一極に集めるのではなく、複数の地域がそれぞれ役割を持ち、自立的に機能する経済構造を目指す動きです。その中で大分は、造船、半導体関連、航空宇宙、デジタル・AI、観光、コンテンツ、食といった分野において、すでに一定の産業基盤を持つ地域であり、国が進めていく政策において大変強みとなってくると言えます。

企業立地と成長で地域経済を広げる
講演の中盤では、賃金や労働の話題をきっかけに、企業立地や地域経済全体をどう底上げしていくかという話へと展開されました。賃金は生活実感と直結する身近なテーマである一方、企業の成長や投資を通じて地域経済を大きくしていくための出発点として捉えられています。
大分県では、賃上げに取り組む企業を支援する制度を通じて、企業の前向きな取り組みを後押ししています。そのうえで小田切氏は、地域経済を持続的に広げていくためには、外からの企業立地や投資によって雇用と資本を呼び込み、地域に循環させていく視点が欠かせないと述べました。
こうした基盤をもとに、県内の企業一社一社がITやデジタルを積極的に取り入れ、生産性を高めていくことで、業務効率の向上や新たな付加価値の創出につなげていくことが重要だと小田切氏は語ります。賃金や企業立地、IT活用は個別の施策として捉えられるのではなく、それぞれが重なり合い地域経済を広げていくということでした。

大分の現在地を見つめ直す時間として
「AIやデジタルが急速に進展する時代においても、最終的に価値を生み出すのは人であるということ」。小田切氏が最後に伝えた、創造性や好奇心、人への向き合い方といった人間的な要素――CHR(Creative・Curiosity・Humanity など)が、これからの時代においてより重要になるというメッセージ。肩書きや立場ではなく、「本気で向き合い、行動する人の量」が地域の未来を左右していくという言葉がとても印象的でした。
制度や環境をどう整えるかだけでなく、その中で一人ひとりがどう動くのか。これまでの経験を背景に、大分の「現在地」とともに、地域のこれからについて語られた内容は、参加者それぞれの立場で地域経済を考えていく良い機会になったと言えます。

参加者との質疑応答の様子



